米中関係とツキディデスの罠:戦争を回避する鍵

主要メディアは、今回のトランプ大統領の訪中について、「米国の力が凋落し、パワーストラクチャーが東に移った」(TIME)「習近平は米国が衰退しつつあるとトランプ大統領に語ったのか?」(Politico)などと否定的な報道が多く見られます。本当にそうなのか、確認してみましょう。

  • トランプ大統領はイーロンマスクや、NVIDAの社長など米国のビジネスリーダーを皆連れて行きました。FOXのショーン・ハニティーのインタビューで、トランプ大統領は、「ビジネスリーダーを連れていくことは、当初の訪中の計画に入っていないことだったので、習近平は驚いたが、とても良いことだと言っていた、と語りました。トランプはまずミーティングを自分たちの土俵(新しい関係の模索」に持っていったと思われます。
  • トランプ大統領は今回ヘグセス国防省長官も連れていきました。このことによって、国防に関しても話をする意欲を示したのです。米中会談で国防省の長官を連れていくのは1972年(ニクソンとキッシンジャーが共産主義中国を開国させた年)以来初めてでした。それ以降米国は意図的に国防省を米中サミットから外していたのですが、トランプはその慣習を廃止しました。トランプ大統領は、大英帝国のルールにのっとって交渉しない、米国、ロシア、中国の間で非核化を進めたいと公言しました。
  • トランプ大統領の訪中はロシアとウクライナの戦争を終結させるためにも大きな役割を果たしたはずです。ウクライナは自由主義を守るという御旗に隠れて、世界中から資金を巻き上げて、世界を不安定化させ、その中で最大限の利益を得るという大英帝国のシステムの重要な役割を果たしていました。ロシアに加えて、中国にも牽制をすることで、このシステムを解体しようとしていると思われます。
  • 中国はイランの最大の原油購入国でしたが、ホルムズ海峡への依存を減らし、アメリカからも購入するという話を進めることになりました。ホルムズ海峡は大英帝国が世界から搾取する重要なポイントだけに、その開放にはまだ時間がかかるようですが、様子を見ましょう。
  • 習近平国家主席は、米国と中国が「ツキディデスの罠」に陥らないで、新しい関係を構築できるかと疑問を呈しました。「ツキディデスの罠」というのは、ハーバードの政治学教授であったGraham Allisonが2012年にFinancial Timesにおいて提唱した考え方です。過去500年の歴史を振り返ると、その時の覇権国に対して、新興国が起きてくると、16のケースの内11件のケースで、互いの恐怖や猜疑心から戦争が不可避になってしまうという説です。Graham Allisonという人物は英国の価値観を大切にする米国の若き研究者に与えられる英国の議会の補助金を受けて、オックスフォードでも学び、その後キッシンジャーに師事しています。つまり英国のシステムを米国に注入するために送られた人物と考えることができます。

「ツキディデスの罠」というのは、古代ギリシャの歴史家であるツキディディスが「戦史」の中で記したペロポネソス戦争に由来しています。当時の覇権国スパルタに対して、アテネという新興国が起きて、アテネに対する猜疑心と恐怖によって両者の戦争が不可避的に起きたというものです。しかしプラトンの「国家」を読むと、現実にはその背後にペルシャ帝国がいて、両者の争いを仕組んでいたことがわかります。ペルシャはスパルタとアテネと戦わせることで、漁夫の利を得ようとしたのです。習近平主席がこの罠に言及したのは、覇権国米国は新興国中国に対して、猜疑心と恐怖を持っているので、両者の戦争が不可避になる可能性があるが、それを乗り越えられるかという問いでした。

Graham Allison氏の上げた16の例の中で、戦争にならなかった例がありますが、それは大英帝国から米国への覇権移転のケースです。この時、大英帝国は、英国の権力システムを米国の内部に潜入させることにより、戦争を発生させることなく、一見覇権を米国に移すという事に成功したと考えられます。それ以来、米国は大英帝国の影の搾取システムのもとで動かされてきたというのです。トランプ大統領は、今その陰の力を取り除くことを行っていると考えられます。スパルタに対してアテネが台頭し、戦争が起きた背後にペルシャ帝国がいたように、アメリカに対して中国が台頭し、戦争が起こるかもしれないという背景に、大英帝国がいるのです。トランプ大統領の今回の訪中は、そのような大英帝国からの呪縛を取り除く意味もあって、当事者同士の会合をもったのではないでしょうか。もしこれが真実であれば、敵味方という従来の構図、「ツキディデスの罠」に陥らずに、独立した国国による新しい世界秩序を築いていけるかもしれません。大きな目で見ていきましょう。

Published by

Unknown's avatar

noahuehara

I am a pastor of Mikuni Bible Fellowship.

Leave a comment