エゼキエル書38-39章に書かれているエゼキエル戦争。神に導かれたゴグをはじめとする国々がイスラエルを攻撃するが、神によって滅ぼされるというエゼキエル戦争。イラン情勢が予断を許さない今、福音派の一部には、エゼキル戦争の前夜ではないかという議論がある。果たして、本当にエゼキエル戦争直前なのだろうか。
以下にエゼキエル戦争で登場する国、そして聖書の記述から、検討していこう。
1.登場する国々
エゼキエル戦争で登場する国々は、マゴグの地のゴグ、すなわちメシェク、トバル、そしペルシャ、クシュ、プト、ゴメル。ぺと・トガルマとなっている、まずこれらがどの国を現わしているかを確認しよう。
・メシェク、トバル、ゴメル: トルコ
・ベト・トガルマ: トルコ、アルメニア、チェルク共和国
・ペルシャ: イラン (イスラエルの東)
・クシュ: スーダン、南エジプト、北エチオピア (イスラエルの南)
・プト: リビア (イスラエルの西)
・マゴグ: 黒海の北岸説と、トルコ節が有力であるので、ロシア・ウクライナ・カザフスタン、またはトルコとなる
・ゴグ: トルコかロシアとなる。
まとめると、これらの国は、ロシア、トルコ、ペルシャ、エチオピア、スーダン、リビアとなり、イスラエルを包囲する形となる。
2,タイミング
ではこれらの国がイスラエルを襲ってくるのはいつなのか。
エゼキエル書38章11節には、ゴグがイスラエルを攻める動機として次のように記されている。
「私は囲いのない国へ攻め上る、城壁も、かんぬきも門もなく、安らかに生活している静かな国を襲う。」と。
また8節では「長くあれ廃れていたイスラエルの山々で、そこには剣の恐れから解放され、多くの民の中から集められた民がいる。彼らは多くの民の中から連れ出されて、今は皆安らかに暮らしている。」となっている。
ここからわかるタイミングは、イスラエルが、まず荒廃するのである。エゼキエル書の37章で、骨が蘇るという預言がある。これはまさに骨だけになるまで荒廃するイスラエルが奇跡的な力によって、よみがえることを予言している。したがって、まずこの骨だらけになるという荒廃が起こらなければならない。そしてそのあと多くの民が集まってくるのである。さらにそのあと、城門の閂も不要なほどの平和な状態が訪れるのである。エゼキエル戦争はその後に神によって引き起こされるのである。
3,現在のイスラエルの状況との比較
以下の諸点を上げるだけでも、「平和に暮らしている」条件を満たしていないことがはっきりする:
- 2023年10月7日のハマスの奇襲以来、ガザ戦争が継続中
- ヒズボラとの緊張・交戦が続いた(2024年)
- イランとの直接的なミサイル・ドローン攻撃の応酬(2024年4月・10月)
- ヨルダン川西岸での治安悪化
- 国内でも戦時内閣をめぐる政治的混乱
結論
現在の状況はイスラエルが平和に暮らしている状態ではないので、エゼキエル戦争の前夜とは言えない。また今のイスラエルが、聖書で預言されているイスラエルかどうかという点も確定ではない。いずれにせよ今後イスラエルが荒廃し、その後多くの国が集まってきて、平和が訪れた後、エゼキエル戦争が起こると考えられるので、聖書預言は常に頭に置きつつも、今の世界情勢は分けて、広い視点で考えておくことが重要である。