成人が失明する原因のナンバーワンはどんな病気か、ご存じだろうか。糖尿病だそうである。失明だけではない、糖尿病を放置すると腎臓や神経そして血管がやられてしまうのである。一度かかってしまうと完全には治らないとも言われている。糖尿病は肥満体質の人だけの病気ではない。日本人の肥満体質の割合は欧米に比べて40%ほど少ないが、アジア人には内臓脂肪がつきやすいという調査報告がある。そして世界で最も糖尿病の羅漢率の高い国は、2017年の統計によると、中国、インド、米国、ブラジル、メキシコが一位から5位となっており、アジア人に糖尿病は多いのである。日本は10位前後である。
日本で糖尿病が疑われる人の数は厚労省の統計によると1950年代、約70万人だった。しかし1997年には690万人、2016年には1000万人と増加しているのである。
糖尿病が強く疑われるというのは、ヘモグロビンA1Cの値が6.5以上、あるいは糖尿病の治療を受けている人のことである。この数字、昔は6.1だとされていた。これだと糖尿病だと強く疑われる人の数が非常に増加してしまうために、数値が挙げられたと思われる。いずれにせよヘモグロビンA1Cというのは血液中のヘモグロビンに付着した糖質の量を表す。ヘモグロビンに付着した糖質は二度と離れないので、赤血球の寿命の間血液の中にとどまることになる。赤血球の寿命は約2か月といわれているので、このヘモグロビンA1Cを調べることによって過去2か月ほどの間の平均的な血糖値がわかるのである。
京都大学の森谷敏夫教授によれば、糖尿病は筋肉の代謝異常だそうだ。糖質の70%は筋肉が使用する。20%を脳が使用し残りを内臓が使用するのが普通であるが、筋肉が十分に糖質を使用しないと、膵臓がインシュリンを放出してエネルギーに変えようとするが糖質が多すぎると膵臓の機能を超えてしまい。膵臓が疲弊してしまう。そしてそれが長期間続くと膵臓の機能が働かなくなるのである。
これを防止するには筋肉を使うことである。食後30分くらいが最も血糖値が高くなるタイミングなので、その時に10分でも20分でも歩くことが勧められている。運動の効果は48時間しか持続しないので、いわゆる週末だけ運動するのではあまり効果が出ないそうだ。週5日の運動が勧められているのはそのためである。